「一人一人を大切にしている神様」

幼稚園玄関に頂いた 7 段飾りのお雛様を飾りました。「なんか、顔が変わっている」「オルゴールはどこへ行ったの?」 「もっと背が高くなかった?」「このセットはなかったよね」「お花が変わっていると思う」などと言っている声が聞こえてき ました。昨年まで活躍していた年代物のひな人形と変わったことに多くの園児がすぐに気が付いていました。何気なく置 いているものでも子どもたちは鋭く観察して記憶していたようです。私ですら 50 年以上も前の幼少期に使っていたおも ちゃの中には細部まで記憶しているものがあるのです。ましてや柔らかい頭でスポンジのように吸収している子どもたち です。記憶に残っているということは心の目でしっかり見たということでしょう。 子どもたちがしっかり記憶をするということを、大人はきちんと意識をすることがとても大切だと思います。 先日、排泄を終えたひよこ組が廊下で並んで待っていた時です。通りかかった年中組や年長組の子どもたちを引き留め て「この人の名前は何でしょうクイズ」をしました。すると、一緒のバスに乗車しているひよこ組のお友達がきちんと名前 を憶えていて答えてくれました。乗車する前、乗車後と何度もお名前を呼んで確認作業をするので自然に覚えたようで す。まだお名前を知らないお友達にも「このおねえさんは N ちゃんといいます。」と紹介をしました。その後に N ちゃんがそ っと「私を名前で紹介してくれてありがとう」とお礼を言ってきました。そんな些細なことでお礼を言われるとは思っていな かった私は、N ちゃんの素晴らしい感性に感動しました。 少人数の幼稚園ではありますが、その中でも互いの名前も知らずに関わる機会もなく過ぎてしまうことがあります。一人 一人が違う名前のある、神様と人から愛されている大切な人である。「名前を丁寧に呼ぶ」ことを通してこの事を子ども たちは実感しているのだなと改めて思えた出来事でした。 子どもたちの成長を伸びた背や、きつくなってきた上靴、話す言葉や態度、自分でできるようになった身支度、友達と折 り合いをつけながら遊ぶ姿などいろいろなところから感じます。子どもたちはこの 1 年で心も体も大きく成長しました。そ の土台には神様と多くの人々の愛があるからです。愛情をたっぷり受けて育った子どもは、土台がしっかりしているので ちょっとやそっとでは倒れません。必ず、前を向く力がその内側にしっかりとあります。園での生活を通して子どもたちに 自分の目でよく見て、自分の耳でよく聞いて、自分の頭でよく考えることを大切にしていました。お友達の考えにも耳を 傾けることで子どもたちは、自分の中に一人では得られない色々な経験を積み重ねて人間の幅を広げています。それら が、確実な力となって次へのステップへと導いてくれることを願っています。「♪ありがとうイエス様~」との歌声を聞きな がら、神様が一人一人に違った賜物をくださっていることをしみじみと感じる 3 学期です。

 

2024年2月 園長 加藤 真希子


「子どもの心をはぐくむもの」

お正月早々、大地震に見舞われ被災された人々の一日も早い復興をお祈りいたします。 離れ離れにならざるを得ない家族が多くいることにも心が痛みます。子どもたちにとってもショックな映像やニュースが 繰り返されましたね。新しい年の始まりにしては悲しい出来事が続いてしまいました。 2 月の 3 歳以上の月主題は「わかちあう」です。自分のことだけではなく、他の人の思いに気づいたり、認め合ったり しながら関係を深めていくことに重きを置きながら過ごしたいと思っています。身近な家族、親戚、そして友達、先生と子 ども達の世界はどんどん広がってきました。0歳組あるあるですが、自分が信用している人には何かを分けてくれます。 どんなに小さくても「わかちあう」こころがあるのだなーといつも感心します。世界が広がってくると自分と違う考えや 文化を持っている人々と出会うことがあります。知らない事象やモノに出会うこともあります。0歳児にとっての「雪」など もその一つではないでしょうか?そのときに「おもしろいなー」と興味・関心が持てるとどんどん世界は広がります。 子どもの時に出会ってほしくないなーというものもあります。現実とファンタジーの世界の境界がないうちは残酷な物 は見せないでほしいなと思います。悪い言葉にもあまり触れないでほしいと思います。外国のドラマや映画では「トラウ マ」にならないように残酷な場面では大人が子どもの目をふさぎ、悪い言葉をいうときには耳をふさいでいるのを見か けます。大人側が子どもの心をきちんと守るということが大切です。昔は大人の時間と子どもの時間がきちんと分かれ ていて、放送されるものも時間帯が考えられていました。今はどの時間帯であっても見られる環境になっています。ご家 庭で大人向けのものを見るときには子どもたちは大人と違うとらえ方をしてしまうことがあることや、自分のことのように 不安になってしまうことがあることを忘れないでほしいのです。 年中組の U さんは、年長組になる時に教材のマーカーを買ってもらえることを楽しみにしています。私たち大人は子ど もたちが、どんなことからも喜びを見い出すことを知り、その感性の豊かさから学ばされます。大人も愛を持って経験か ら学んだ良いものを子ども達にわかちあっていきたいですね。 2024年、子どもたちの目と耳に美しいものがたくさん届きますように。世界って素敵だなと思える出来事が多くありま すように祈りつつ過ごしたいと思います。

2024年1月 園長  加藤 真希子


「球根の中には」

11月下旬、十数名の年長児と一緒に空っぽの園庭の畑に花の球根を植えようとしました。 しかし、土がすでに凍っていて、子ども用の砂遊びスコップでは掘ることができません。先生が剣先スコップを持ち出し、挑 戦してみると歯が立たないところと少し掘れるところがありました。子どもたちは懸命に穴を掘り、大事そうに球根を埋めな がら「これはいつ咲くの?」と聞きました。「春になったら咲くから、もうみんな卒園して小学校に行ってしまってるね。」と淋しく 言うと「じゃあ、見に来るね!」「遊びに来るよ!」とうれしい返答が返ってきました。だんだんと卒園と進級を感じる時期となり ました。子どもたちそれぞれも球根のように素敵な力を内に秘めています。それぞれの個性が発揮された素敵なオリジナルの花がいつ咲くのか、どんな花なのか神様だけがご存じです。楽しみですね。 その夜雨が降り、翌日の土はとても柔らかく、前日に植えられなかった球根を「今がチャンス!」と私が植えてしまいました。 あちらこちらに埋められた球根から芽が出て花が咲くのが楽しみです。願わくは鹿に見つからずに冬を越せますように。 幼児期は人間の土台作りの時期といわれます。そして、人間の根っこを育てる時でもあります。根を伸ばし、広げていくためには土が重要です。柔らかくすぎず栄養いっぱいで愛情いっぱいのふかふかの土の中でこそ根は自分らしく伸び伸びと広 がっていけるのです。 今年は、プロフェッショナルな人たちとの出会いでたくさんの栄養をいただきました。 7月のたまご座の人形劇、8月から毎月のように来てくださったALTのアーサー先生、日本ジャンプロープ連合北海道支部長の日高龍太郎先生のダブルダッチ、バッハ国際コンクール日本人初優勝の冨田一樹さんのパイプオルガン演奏、火事か ら守ってくださる消防士の皆さん、いつも栄養バランスを考えた給食を提供してくださる調理の方々、苫小牧が誇るプロフェッショナルアイスホッケーチーム「レッドイーグルス北海道」の選手の方々。 子どもたちは、多くの刺激をいただき、憧れを抱き、学び、遊びの中で沢山の再現活動をしていました。本当にありがとうございました。私たち保育者自身も本物に出会うことの大切さと喜びを改めて感じた一年でした。私たちもプロの保育士としての自分を顧みて保育に励もうと思わされました。 さあ、冬休みがやってきます。慌ただしい年末でしょうが、どうか子どもと一緒にいることを楽しんでください。 そしてゆっくりのんびりと良いお正月を過ごし心にたっぷり栄養補給をしてください。 年明けに十分満ち足りた子どもたちに会えるのを楽しみにしています。 新しい年も神様のお恵みが皆様の上に豊かにありますように祈ります。

2023年12月 園長 加藤 真希子


「生命の尊さをともに喜び合う」

落ち葉が舞い、裸になった木々が増え始め、子どもたちが冬帽子や手袋姿で登園するようになりました。いよいよ冬の到来を感じますね。寒さの中でも、広くなった園庭で伸び伸びと遊んでいる子どもたちを見ていると大人も元気になってきます。子どもたちの存在そのものが、大人の力になっていることを感じる時でもあります。

 生活発表会で仲間と共に力を合わせ達成感を味わい、周りに褒められ認められた子どもたちは、自信に満ちて活動をしています。子どもたちは、他学年の練習を見ながら「ちょっと着てみたいな」と憧れていた衣装を貸してもらい、満足そうに廊下を歩いたり、役になりきったり、踊ったりと発表会の余韻を大いに楽しみました。年長女児の踊った「アイドル」の衣装に身を包み、完璧に踊る年少組のHくん。その姿から子どもたちの「見る」がいかに真剣だったかがわかります。子どもたち同士で刺激しあいながら、それぞれが豊かになっていっています。取り組みの過程で交友関係が広がったりもしました。特に年少組はひよこ組と一緒に取り組んだことによってぐっとお互いの距離も縮まり、誘い合う姿が多くみられるようになりました。

 今年から園では「ともに あそぶ みつける よろこぶ」をスローガンにいろいろな取り組みをしています。「ともに」とは、一人ではなく必ず誰かがいることです。一人でいるように見えても、神様の見守りがあり、保護者の皆さまの見守りがあります。園では、友達がいて、先生がいてと安心して過ごすことができる環境下にあること。そして一緒に遊んだり、発見したり、喜んでくれる人がいること。この事がどんなに勇気づけられることかご存じの方も多いのではないでしょうか。

 さて、園内もクリスマスに向けての取り組みが始まり、各クラスではオリジナルのツリーが飾られ始めました。クリスマスを迎える喜びをみんなで分かち合いたいと思います。

私の好きな賛美歌に『神様の贈り物』というのがあります。

♪クリスマス 神様の愛の贈り物 クリスマス 神様の愛の贈り物 思い描いたいろんなこと 上手くいかなくても 思い出してね クリスマスは 愛の贈り物 ♪

 

この歌詞を思い浮かべるとき、おもうようにはいかない現実があってもいつも神様はともにいてくださっているのだと思えます。子育てはなかなか自分が思い描いたようにはいかないこともあります。私たちにはいつ何が起こるかわかりませんし、心配なこともたくさんあります。ただその時に一人ではなく、必ず共にいてくださっている方が周りにいることを思い出してほしいのです。そして、かおり幼稚園の先生方も皆さんと子育ての喜びや大変さを感じながら、子どもたちの命の尊さをともに喜んでいることを忘れないでほしいのです。

2023年11月 園長 加藤真希子


「たかがペットボトルキャップ、されどペットボトルキャップ」

私は、コロナ禍前からペットボトルキャップをせっせと集めては、子どもの学校や北広島駅においてあったペットボトルキャ ップを集める筒や札幌の大丸藤井の大きなパンダなどに入れていました。世界中の病気の子どもたちのワクチンに変えても らえるのならという思いで取集癖が抜けず、コロナ禍になっても集めていました。ペットボトルキャップ400個で 10 円になり、 ワクチン一つにかかる費用が 20 円。800個で一人の子どもの命が救えるのです。しかしながら、その間にペットボトルキャッ プを集めるところはあれよあれよという間に減っていき、「うちの会社はまだやっているよ」と知り合いの務める建設会社にや っと渡せたときは「世の中まだ捨てたものではないな」と感動したのも1年前。とうとう、その会社でも集めなくなったと聞き、 身近なところでのもって行き先を残念ながら失ってしまいました。 私は、教材として園にキャップたちを持ってきてみました。新しいものに目がない子どもたちは、早速ペットボトルキャップを 試しています。回したり、はじいたり、いかに遠くまで飛ばせるかを競ったりと実験に大忙しです。容器にあんなにたくさん入れ たはずなのに、いつの間にかお気に入りのをリュックやお道具箱にキープする子どもたちがちらりほらり。瞬く間にキャップの 数が減っていきました。昔(私の少し前の世代)は瓶ビールの蓋を王冠と呼んでいて集めたり遊んだりしていたようなので、 子どもたちの遊びの宝物は今も昔もそれほど変わらないのかもしれません。それにしても、興味を持った事はとことん追求す る労力と手間を惜しまない子どもたちにまず感心します。実に遊びを深めているのです。 ペットボトルキャップで私が思い出す人物がいます。それは、今から 11 年前のブラジルのリオデジャネイロで環境問題につ いての国際会議での演説で有名な当時のウルグアイのムヒカ大統領です。ムヒカ大統領の演説は、『世界で一番貧しい大 統領のスピーチ』という絵本にもなるほど世界中に感銘を与えました。ムヒカ大統領は、自分の給与の 7 割を毎月寄付に回 していました。そして、自分を選んでくれた大多数の人と同じ暮らしをするべきだと考え、中古車に乗り、農場に住んでいまし た。彼は演説の中で多くの考えさせられる言葉を残しています。「貧乏とは、少ししかもっていないことではなく、無限に欲が あり、いくらあっても満足しないことです。発展とは、人間の幸せの味方でなくてはならないのです。人と人が幸せな関係を結 ぶこと、子どもを育てること、友人を持つこと、地球上に愛があること、こうしたものは、人間が生きるためにぎりぎり必要な土 台です。なぜなら、幸せこそが最も大切な宝だからです。人類が幸福であってこそ、よりよい生活ができるのです。私たちがよ りよい生活をするために戦うとき、これを覚えておかなくてはなりません。」そんな演説に会場からは割れんばかりの拍手が 起こり、世界中へと広められたのです。ところで、なぜペットボトルキャップでムヒカ大統領を思い出すかといいますと、ムヒカ 大統領が住んでる農場にペットボトルキャップで根気よく作った揺れるベンチがおいてあるからです。言葉だけではなく、生 活の中で環境問題に取り組み実践した大統領がいたことを覚え、小さなペットボトルキャップャップを粗末にせず、役に立つ ものに変えていく(自分の遊びから得る学びも含まれます)。そのように物事を深める人間がたくさん育って行くときにより幸 せな未来がえがけるとおもいます。

2023年10月 加藤真希子


「つながりながら成長する」

 果物が美味しい季節になってきました。美味しい物に目がない私は色とりどりの果物を店頭で見るとうれしくなってしまいます。出光カルチャーパークで見た大きな栗にも感動しました。食欲の秋ですね。4月から、どんぐり組のおやつ後の時間に「絵本の読み聞かせタイム」を設けています。この時期はついつい食べ物の本を選びがちになってしまうのは、食いしん坊のせいでしょうか?

 先日、ブルガリアの昔話「むくどりとぶどうのき」(八百坂洋子再話 T・マノーロフ絵)をどんぐり組で読み聞かせました。おじいさんが雪解けの季節から自分のブドウ畑の手入れをするのに出かけるときに、必ずムクドリに声をかけて誘うのです。ムクドリは巣作りをしているからと断ります。夏になり、草刈りをしに行くときにも「子どもたちに餌をやっているところよ」と巣を離れませんでした。秋になり、ブドウが実ったころ、おじいさんはムクドリを探して呼びかけます。「どうだね、一緒にブドウ畑に行くかね。今日はブドウをつみに行くんだが・・・」。ムクドリは気持ちよさそうにさえずり、「いまこどもたちをよんでくるわ」と答えます。豊かに実ったブドウ畑でムクドリの親子はおなか一杯甘いブドウをごちそうになりました。と物語は終わります。

 このような昔話では、労働しなかったものは実りを食べられない、というものが多い中、収穫をともに喜び合うところがこの物語の特徴です。「ムクドリは働いた?」との私の質問に「こどもをそだててたよ!」というまっすぐな子どもたちの声が返ってきました。子どもたちは子育てが尊い立派な働きであることは身をもって知っているのだなと感動しました。果物づくりも子育ても毎日のお世話や見守りが必要です。それがあってはじめて成長していくのです。そして、ムクドリが忙しくて行けないことを承知の上で、声をかけ誘い続けたおじいさんの働きも素晴らしいと思いました。私たちは、社会の中で様々なつながりを作って生きていますが、孤独を感じる時もあります。このおじいさんとムクドリのように声をかけることで支え合い、つながり続ける大切さを改めて思います。

 生活発表会への取り組みの積み重ねを通して、また日常生活の中で、こどもたちは成長し続けるでしょう。そして新しいつながりが子どもたちの中にも芽生えてくることも願っています。

2023年9月20日 加藤 真希子


「自然の恵みに感謝しながら、楽しむ」

 今年の夏は北海道らしくない猛暑でしたね。暑い夏は楽しめましたか?それとも夏バテで大変でしたか?夏休み帳のご協力ありがとうございました。読むのを楽しみにしています。私は地球温暖化の影響を強く感じ、大人としてできることを考えさせられました。

 夏の間、園のプランターで育ったキュウリやさやいんげんなどを収穫しては、どんぐり組でおいしくいただいていました。畑のジャガイモと人参も大きくなってきました。神様が自然の力を恵として私達に豊かな収穫を与えてくださっていることに感謝します。今日、みんなで収穫をしました。15日(金)に在園児は収穫したジャガイモと人参を使ってカレー作りに挑戦したいと思います。コロナ禍でなかなかできなかった調理保育ができる喜びを感じています。

 長い間、子どもたちと一緒に楽しみたい、経験させたいと思っていたことを我慢してきました。今月の1.2歳児の月主題は「やりたいようにやってみる」です。本来人間は自分のやりたいようにやって試行錯誤する時期が大事です。しかし、パンデミックになってから「やりたくはないけれど、その選択しかないね。」ということも多かったのではないでしょうか?自分の思いを表す機会が十分ではなかった子どもたちがこれからは遊びを通して好きなことを分かち合い、「おもしろいね」と共感しあえるといいなと願っています。せっかく集団の中にいるので自分の気持ちを大事にしながら、周りの子はどんな気持ちかな?との気づきができるように育ってほしいと願いながら保育をしています。

 園庭が広くなり、虫探しに熱心な子どもたちは必死にバッタや蝶々を追いかけています。年長児の鮮やかな網さばきを憧れの眼差しで見ていた年少児のT君は何とか長い棒を持ちながら蝶々を追いかけるのですが、網の向きが定まらずなかなか捕まえられません。道具をコントロールして使うというのは、頭と体を同時に用いるとても高度なことなのです。コツをつかむまで何度もトライをしています。そしてようやく捕まえることができました。その集中力と根気強さは素晴らしいです。時間を忘れて没頭することができるのが子どもの特権です。たっぷり遊べる時間、伸び伸び遊べる空間、一緒に遊べる仲間、この3つの間が子どもの育ちにはとても重要です。

 3.4.5歳児の月主題は「おもしろい」です。ともだちや保育者と伸び伸び遊ぶ中で一緒に心を動かし、様々なことを感じて心も体も丈夫で元気な子どもになれるように2学期もたくさん遊びたいと思います。ご協力よろしくお願いいたします。

2023年8月21日 園長 加藤 真希子


「ゆったりと視野を広げて」

 晴天の下、運動会を皆様のご協力によって盛大に行えましたことを感謝いたします。本当に大勢の方に見守られ、声援をいただけて子どもたちも喜んでおりました。細かい反省点はいろいろありますが、親子競技の際に子どもたちが 見せていた満面の笑みが運動会の楽しさを物語っていると思いました。

 年少児は、運動会を楽しむこと、年中児は仲間と力を合わせること、年長児は仲間と協力しながら達成感を得ること を大切に取り組んできました。特に年長児は集団競技への取り組みや話し合いを通して、自己中心だった発言から勝 つために仲間としてできることは何かというように意識が変化してきました。運動会当日の玉入れの片づけ競争の時です。少し外れたところにある赤い玉をじーっと見つめている W ちゃんの姿を見つけました。合図と同時にさっと赤い 玉のところに走りバケツにしまっている姿から「外れ玉は任せて!」という W ちゃんの自信と、何度も作戦会議や練習 を積み重ねたうえで培った知恵を見ることができました。日々の取り組みを通して、子どもたちの視野が広がっていっ たことを感じた場面でした。

 さあ、夏休みが始まります。いつもの日常とは離れた体験をすることも増えると思います。 スウェーデンでは、長い夏休みに宿題は一切出ないそうです。読書は推奨されています。非日常的な体験は本の中でもすることができます。『ウエズレーの国』という絵本があります。すこしおおきい子ども向けですが、学校で外れ者とし て過ごしていたウエズレーが、夏休み中に独自の文明を作り出し、他の子どもたちも楽しそうだとどんどんウエズレーの国の仲間入りをしていく話です。自分で文明を作ってもいいのだ!とウエズレーから学べることがたくさんあります。 図書館などを利用して、ぜひ自分の知らないところへの本の旅行を楽しんでもらいたいと思います。子どもたちはあっという間に想像の翼を広げて違う世界に旅立つことができます。違う場所、ヒト、モノに出会って、自分の世界を少しず つ広げていくのです。夏休み中に様々なチャレンジを通して視野が広がり一回りも二回りも成長した子どもたちと会う のを楽しみにしています。また、園の中で過ごす子どもたちとも特別なイベントを計画しています。2 学期も無事に会えるように祈りあいながら夏休みを迎えたいと思います。

 

2023年7月20日 園長 加藤 真希子


「お友達の存在」

 春に子どもたちが園庭の畑に植えたジャガイモがすくすく伸び、紫色の花を咲かせました。それを発見したRちゃんは「このお花がジャガイモになるんでしょう?」とイチゴを育てた経験から予想して考えて言いました。「どうだろうね、楽しみだね」と私は答えました。今教育現場ではすぐに教えるのではなく、子ども自身が思考して自ら答えにたどりつくということを大切に教育しています。どこにジャガイモができるのかをご存じの方も多いと思いますが、子どもたちにはぜひ驚きと感動の中でジャガイモに出会ってほしいと思います。

 子どもたちもこの数カ月で自分なりにお友達との交流を通して色々な事に挑戦し、何度も気に入ったことを繰り返し、達成感と満足感を得て次のステップへと踏み出しています。それは、遊び以外にも一人で靴を脱ぐことであったり、自分の重い荷物をクラスへ運ぶことであったり、誰の手も借りずに最後まで自分の身支度を終えることであったりもします。大人からみると小さなことかもしれません。しかし、その小さな積み重ねが少しずつ子どもたちを自立へと導き、自信をもって自分自身を生きていく土台となっていくのです。

 7月の主題、0・1・2歳児は「そうそう」、3・4・5歳児は「心ひらかれて」です。挑戦に慎重な子どもたちもいます。先日、大成児童館のふわふわ遊具で遊んだ時、Aちゃんはやってみたい気持ちよりも怖い気持ちが強く、何人かの先生方に促されてもなかなか心は動きませんでした。その気持ちに寄り添いながら中で遊んでいるお友達の楽しそうな様子を一緒に見ていました。中からRくんやIくん、Yくんの楽しそうな笑い声が聞こえてきました。「楽しそうだね」とAちゃんに話しかけると笑顔になり「やってみたいな」と心が動いたようでした。お友達の存在がAちゃんを動かしたのです。その後、Aちゃんは一人で挑戦して満足するまで遊びました。

 集団にいることで、子どもたちは同じような気持ちや違う気持ちと出会い、心が開かれ、尻込みしそうなことにも挑戦している姿を見せてくれます。今年の運動会では、ぜひ色々な年齢の子どもたちの「お友達がいることで育つ心」も見ていただけたらと願っています。

 

2023年6月20日 園長 加藤 真希子


「自分で考えて見つける」

 今年からかおり幼稚園は、「ともに あそぶ  みつける よろこぶ」という教育目標を掲げて活動をしています。入園式や始業式でもお話させていただきましたが、「あそぶ」ことは子どもにとって大切なことです。朝、玄関で立っていますと早く登園した子どもたちがお友達の登園はまだかと玄関をのぞきに来ます。何人かで思いついた面白いことを言って笑いながら友達を待っている様子を見て「本当にお友達が来ることが楽しみなんだな」とわかります。誰かと一緒だと楽しみが倍増する経験を子どもたちは園でしています。「ともに」というのは集団生活の中だからこそ味わえるものです。

 今月の月の主題は0歳児が「なにかな」、1・2歳児が「なんだろう」、3・4・5歳児が「見つける」です。私たち保育者は子どもそれぞれの興味関心をよく見て関わり、見つけたことを一緒に面白がるようにしています。「せんせい、みてみて」というしぐさや言葉の中には「こんなおもしろい・ふしぎなことがあったよ!」という驚きや感動の心が入っています。子どもたちの気づきに共感して、言葉を添え、周りの子にも伝えて共有する役目を保育者は担っています。そして、子どもが自分で試行錯誤する過程を大切にしています。

 こんなことがありました。朝の身支度の時にジャンパーをハンガーにかけることを子どもたちは頑張っています。脱いだ時に裏返しになった袖を直すところから始まります。難しい工程がいくつもあります。子どもたちは試行錯誤しながら自分なりのやり方を見つけて取り組んでいます。ある子は、両袖の出口をハンガーの突起にさして上手にジャンパーが落ちないように工夫してかけていました。それを見つけた時、私は感動しました。その子が一生懸命自分で考えて工夫して見つけ出した一つの答えだったからです。私達は、自分と同じやり方や答えでないと受け入れるのが難しい時があります。その子の導き出した方法は、他から見ると違う方法ではありますが、見事にハンガーから落ちることのない方法でした。これからの時代を生き抜いていく子どもたちにとって、このように自分で考えて工夫する力が必要になってきます。今までとは違う答えや方法を考えていく、そのことを遊びや生活での試行錯誤を通して子どもたちに経験してほしいと願っています。

 

2023年5月22日 園長 加藤 真希子


「心動かされて」

 春です。園庭に出た子どもたちはさっそく虫探しをしています。草や木の芽など春を感じるものを見つけた子どもたちは、瞳を輝かせながら報告に来てくれます。子どもたちは本当によく見ていて、小さな変化も見逃しません。5月の主題、3号は「どれどれ」、1・2号は「動き出す」です。

 子どもたちは安心した環境にいると、自ら興味のあるものを見つけて動き出します。

 「あれはなんだろう?」「どんな手ざわりなんだろう?」「どんなにおいがするのだろう」「どんな味がするのかな?」「どんな音がするのかな?」などと五感をフルに動かして、一生懸命に考えながらものと対峙しています。そしてこちらが思いもよらぬ実験に踏み切っているときもあります。大人は見通しがつくので、ついつい結果を先に教えたり、失敗しないように止めたりしがちです(けがをしそうな危ないときはもちろん止めます)。ただ、子どもたちは、心が動かされたので行動しているのです。それは、子どもたちにとって初めての体験だったりします。そして自分で試した結果を自分で見たいのです。自分自身の心が動いて体験することがとても大切なのです。その体験の積み重ねが知識と技能が伴った経験へと変わっていきます。

 私達は、子どもたちが何に気が付いて、何を感じているのかよく見て、子どもたちの気持ちに共感します。共感してくれる人がいるいときに子どもたちは喜び、自信がつきます。それは少しずつ子どもたちの力になっていきます。毎日の小さな自信の積み重ねが、一年後に大きな力となっていきます。そしてそれはやがて人間としての確固たる土台となっていくのです。

 忙しくなると私達は、自然を見るのを忘れがちになります。文字通り、まさに心を亡くしてしまいがちになります。そんな時は、子どもたちと一緒に春の自然の中に身を置いてみるとリフレッシュできるかもしれませんね。子どもたちと一緒に心を動かされて発見を楽しみましょう。

園長 加藤 真希子