今年からかおり幼稚園は、「ともに あそぶ みつける よろこぶ」という教育目標を掲げて活動をしています。入園式や始業式でもお話させていただきましたが、「あそぶ」ことは子どもにとって大切なことです。朝、玄関で立っていますと早く登園した子どもたちがお友達の登園はまだかと玄関をのぞきに来ます。何人かで思いついた面白いことを言って笑いながら友達を待っている様子を見て「本当にお友達が来ることが楽しみなんだな」とわかります。誰かと一緒だと楽しみが倍増する経験を子どもたちは園でしています。「ともに」というのは集団生活の中だからこそ味わえるものです。
今月の月の主題は0歳児が「なにかな」、1・2歳児が「なんだろう」、3・4・5歳児が「見つける」です。私たち保育者は子どもそれぞれの興味関心をよく見て関わり、見つけたことを一緒に面白がるようにしています。「せんせい、みてみて」というしぐさや言葉の中には「こんなおもしろい・ふしぎなことがあったよ!」という驚きや感動の心が入っています。子どもたちの気づきに共感して、言葉を添え、周りの子にも伝えて共有する役目を保育者は担っています。そして、子どもが自分で試行錯誤する過程を大切にしています。
こんなことがありました。朝の身支度の時にジャンパーをハンガーにかけることを子どもたちは頑張っています。脱いだ時に裏返しになった袖を直すところから始まります。難しい工程がいくつもあります。子どもたちは試行錯誤しながら自分なりのやり方を見つけて取り組んでいます。ある子は、両袖の出口をハンガーの突起にさして上手にジャンパーが落ちないように工夫してかけていました。それを見つけた時、私は感動しました。その子が一生懸命自分で考えて工夫して見つけ出した一つの答えだったからです。私達は、自分と同じやり方や答えでないと受け入れるのが難しい時があります。その子の導き出した方法は、他から見ると違う方法ではありますが、見事にハンガーから落ちることのない方法でした。これからの時代を生き抜いていく子どもたちにとって、このように自分で考えて工夫する力が必要になってきます。今までとは違う答えや方法を考えていく、そのことを遊びや生活での試行錯誤を通して子どもたちに経験してほしいと願っています。
2023年5月22日 園長 加藤 真希子
春です。園庭に出た子どもたちはさっそく虫探しをしています。草や木の芽など春を感じるものを見つけた子どもたちは、瞳を輝かせながら報告に来てくれます。子どもたちは本当によく見ていて、小さな変化も見逃しません。5月の主題、3号は「どれどれ」、1・2号は「動き出す」です。
子どもたちは安心した環境にいると、自ら興味のあるものを見つけて動き出します。
「あれはなんだろう?」「どんな手ざわりなんだろう?」「どんなにおいがするのだろう」「どんな味がするのかな?」「どんな音がするのかな?」などと五感をフルに動かして、一生懸命に考えながらものと対峙しています。そしてこちらが思いもよらぬ実験に踏み切っているときもあります。大人は見通しがつくので、ついつい結果を先に教えたり、失敗しないように止めたりしがちです(けがをしそうな危ないときはもちろん止めます)。ただ、子どもたちは、心が動かされたので行動しているのです。それは、子どもたちにとって初めての体験だったりします。そして自分で試した結果を自分で見たいのです。自分自身の心が動いて体験することがとても大切なのです。その体験の積み重ねが知識と技能が伴った経験へと変わっていきます。
私達は、子どもたちが何に気が付いて、何を感じているのかよく見て、子どもたちの気持ちに共感します。共感してくれる人がいるいときに子どもたちは喜び、自信がつきます。それは少しずつ子どもたちの力になっていきます。毎日の小さな自信の積み重ねが、一年後に大きな力となっていきます。そしてそれはやがて人間としての確固たる土台となっていくのです。
忙しくなると私達は、自然を見るのを忘れがちになります。文字通り、まさに心を亡くしてしまいがちになります。そんな時は、子どもたちと一緒に春の自然の中に身を置いてみるとリフレッシュできるかもしれませんね。子どもたちと一緒に心を動かされて発見を楽しみましょう。
園長 加藤 真希子